事業承継対策

1 事業の承継とは

事業承継とは以下の3つの承継の側面があります。

 

(1)人の承継

親族や役員・従業員の中から後継者を選定し、育成することで、5年以上の時間が必要とされています。

 

(2)資産の承継

先代経営者が保有する自社株式を後継者へ移転すること、

また、先代経営者が所有する事業に提供している不動産など事業用資産を後継者へ移転することです。

法務面と税務面の検討しながら、承継計画を立案する必要があります。

 

(3)知的資産の承継

ブランド、ノウハウ、人脈などを承継することです。

 

2 事業承継の3つの方法

(1)親族への承継

後継者への株式の集約・移転、遺留分侵害への配慮、連帯保証債務の扱いへの対応が求められます。

 

(2)従業員への承継

親族内承継と共通する部分が多いですが、特徴としては、買取資金の調達が問題になります。

 

(3)第三者への承継(他社への売却、M&A)

デューデリジェンス(財務・法務・税務に関する調査)への対応、株式譲渡契約締結交渉などへの対応が求められます。

 

3 弁護士による事業承継対策とは

(1)資産の承継へのアドバイス・支援

弁護士がアドバイスする場面の1つは、資産の承継です。

 

具体的には、先代経営者が保有する自社株式を後継者へ移転することですが、

単に移転することが目的ではなく、安定的に経営を出来るように、

3分の2以上、最低でも過半数の議決権を保有できるように集約して、移転することを目指す必要があります。

一方で、後継者以外の推定相続人の遺留分を侵害するリスクがあるため、

遺留分を配慮した生前対策が必要になります。

 

①自社株式の集約・移転(会社法や民法による対処)

②遺留分への配慮(民法・特に相続法による対処)

 

という2つの相反する要請を調整する必要があり、弁護士のアドバイスが最も必要とされる場面と考えられます。

 

 

(2)第三者へのM&Aに関するアドバイス・支援

第三者への承継の際には、株式譲渡その他のM&Aのスキームの選択、DD(デューデリジェンス、財務・法務・税務に関する調査)への対応、契約交渉、契約書の作成など、M&Aに関する専門知識と経験が求められます。

 

 

(3)コーディネーターとしての役割

上記の資産の承継やM&Aの支援のみならず、事業承継全体について相談に乗るとともに、

事業承継計画の立案や、税務・会計・商業登記等が必要な場合には、

外部の税理士・公認会計士・司法書士との調整を図るなど、コーディネーターとしての役割を担うことも可能です。

 

4 事業承継対策に弁護士が関与すべき理由

 

中小企業の場合、弁護士が関与せずに、顧問税理士・コンサルタント・M&A仲介会社のみが関与して行われることも多く、
また、対策も事業承継税制など節税や買主探しをメインに行われることが多く、法務面については疎かになりがちです。

 

しかし、せっかく事業承継対策をしたにもかかわらず、
相続争いに発展したり、第三者へ売却後に損害賠償請求をされるなど紛争になってしまえば意味がありません。

 

相続法、会社法(種類株式の設計、定款変更、株主総会決議、取締役会決議など)、連帯保証債務への対処、M&Aの知識経験などが求められ、事業承継対策は、法律問題のるつぼとも言われるほど、本来は、法律家である弁護士の関与が求められる分野です。

 

後継者が安心して経営出来るように、また、第三者への売却後の先代経営者のハッピーリタイアメント(創業者利益・老後資金の確保)のために、ひいては従業員の雇用確保のためには、弁護士の関与が不可欠と考えます。

当事務所では、弁護士として経営者・社長様に寄り添う立場で、アドバイスをさせて頂きます。

また、税理士その他の専門家と連携して対応させて頂いております。

 

解決事例

 独身で子供がいない経営者からの相続と認知症対策の相談がきっかけで、第三者へのM&Aによる事業承継を実現した事例

相続対策と認知症対策ということでご相談に乗りましたが、話をよく聞いてみると、いわゆる事業承継対策が必要な案件でした。親族にも従業員にも後継者として適任な方がいなかったため、他社へ売却することで事業承継を実現しました。
法務面のみならず、過去に勤務していたベンチャー企業が売却になった時の経験や監査役としての経験などビジネス上の経験も含めてアドバイスさせて頂きました。
結果として、従業員の雇用を守ることが出来、また、社長様個人としてもそれなりの金額を手にすることが出来ましたので、大変満足して頂けました。売却後は、個人との間で顧問契約を締結し、引き続きご相談に乗っている状況です。