相続Q&A

Q 相続財産として被相続人の知人に対する貸金債権500万円があります。相続人はAとBの2人で、法定相続分は2分の1ずつです。この貸金債権は遺産分割の対象となるのでしょうか?

A 遺産分割の対象とはなりません。貸金債権は、いわゆる可分債権ですので、相続開始と同時に、AとBそれぞれ250万円ずつ貸金債権を相続することになります。ただし、AとBが遺産分割の対象とすることに合意した場合は、遺産分割の対象とすることも可能です。

※判例解説もご参考ください。

判例解説|相続人数人ある場合、金銭その他の可分債権は法律上当然分割され、各共同相続人が相続分に応じて承継するとした判例(最判昭和29年4月8日・損害賠償請求事件)

 

Q 相続財産として賃貸不動産があり、毎月100万円の賃料収入があります。相続人はAとBの2人で、法定相続分は2分の1ずつです。遺産分割協議の結果、Aが単独で相続することになりました。相続開始から遺産分割協議が成立するまでの間の賃料はAが取得するのでしょうか、それともAとBが50万円ずつ取得するのでしょうか?

A 相続開始から遺産分割協議が成立するまでの間の賃料は、法定相続分に応じて、AとBがそれぞれ50万円ずつ確定的に取得します。その後の遺産分割協議の結果に影響を受けることはありません。

※判例解説もご参考ください。

判例解説|相続開始から遺産分割までの間に発生した賃料は、各共同相続人が相続分に応じて確定的に取得し、後に成立した遺産分割の影響を受けないとした判例(最判平成17年9月8日・預託金返還請求事件)

 

Q 被相続人は、1,000万円の借金を負っていました。相続人はAとBの2人であり、法定相続分は2分の1ずつです。AとBの遺産分割協議により、Aが単独で1,000万円の借金を相続することは出来るのでしょうか。

A Aが借金1,000万円を返済するというAB間の合意としては有効です。債権者との関係では、AとBはそれぞれ500万円ずつの債務を承継していることになり、Aが単独で1,000万円の借金を相続することは出来ません。

※判例解説もご参考ください。

判例解説|相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するとした判例(最判昭和34年6月19日・貸金請求事件)

 

Q 被相続人Xは、不動産をYに対して賃貸していました。敷金は30万円でした。Xの相続人はAとBでしたが、賃貸不動産はAが取得して、賃貸人たる地位を承継しました。Yは誰に対して、いくら敷金の返還を請求できるのでしょうか?

A 賃貸不動産を取得し、賃貸人たる地位を承継した相続人が敷金返還債務を当然に承継するため、Yは、Aに対して、敷金全額30万円の返還を請求することが出来ます。一方、Bに対しては請求できません。

※判例解説をご参考ください。

判例解説|相続により賃貸人たる地位を承継した者は、当然に敷金返還債務を承継するとした判例(大阪高判令和元年12月26日・敷金返還請求控訴事件)

 

 

(随時作成予定です。)