遺産分割協議・調停・審判でお悩みの方
遺産分割でお悩みの方へ、遺産分割の基本を解説致します。
このページをご覧の方は、次のような悩みをお持ちかもしれません。
・いつどのようなタイミングで遺産分割の話を切り出せばいいのか?
・いつまでに遺産分割をしなければならないのか? ・何から話し合えばいいのか見当が付かない。 ・相続人の1人が事実上相続財産を独り占めして遺産分割の話に応じてくれない。 ・相続税の申告と遺産分割の関係が分からない。 ・遺言書があると遺産分割協議は出来ないのか? ・そもそも遺産分割協議をする必要があるのか? ・遺産分割協議書を作るのは難しそう。 ・遺産分割協議、調停、審判の違いが分からない。 |
などなど。
相続は、人生で何度も経験することではないため、このような悩みを持つのは当然です。
以下では、自分で手続きをする場合でも、弁護士に相談や依頼をする場合でも役に立つように、
遺産分割の基本を解説致します。
※会社・法人経営者、個人事業主の相続対策については、事業承継対策も併せてご覧ください。
※当事務所が担当した過去の案件については、解決した主な案件をご覧ください。
そもそも遺産分割とは何か?
遺産分割とは、複数の相続人が共有している相続財産を分割し、各相続人に帰属させる手続きのことです。
たまに、「遺産分割をしておらず、相続はしていない」と勘違いされている方がいますが、
実は、被相続人がお亡くなりになった瞬間に相続は開始し、
相続人は相続開始と同時に相続財産を取得しています。
そして、遺言書によって取得する者が決められている財産や、
貸付債権など法定相続分で当然に各相続人が分割取得することになる財産以外の相続財産については、
共同相続人が共有で取得します(遺産共有状態)。
つまり、遺産分割をしなくても、相続はしているものの、
複数の相続人が相続財産を共有している状態のままということになります。
この遺産共有状態を解消するための手続きが遺産分割です。
※相続人調査、相続財産調査、遺言書の有無の確認をご希望の方は、
相続調査サービス(相続人調査・相続財産調査・遺言書の有無の確認を一括代行)をご覧ください。
※遺産分割協議書の作成方法について知りたい方は、
「遺産分割協議書の作り方 ひな型・書式・サンプル」をご覧ください。
遺産分割協議は必要か? 所有者不明土地問題の原因にも
ここまでお読みになった方の中には、
共有状態のままで分割しなくてもいいのではと思われた方もいるかもしれません。
しかし、例えば不動産を共有状態のままにしておくと、
不動産を売却するために相続人全員の合意が必要になり、売却が出来ないかもしれません。
また、誰かに賃貸しようと思っても、他の相続人の合意が得られずに賃貸できない可能性もあります。
そして、何よりも、共有状態のまま、相続人がお亡くなりになると、
新たな相続人が登場し、共有者が増えていくことになります。
遺産分割を先送りにした結果、数十名の共有状態になることも珍しくなく、
そうなると、遺産分割協議をするどころか、共有者を探すことすら困難になってしまいます。
売却も賃貸も、場合によっては使用も困難になり、価値のない不動産になる可能性が高まってしまいます。
いわゆる所有者不明土地問題も、このような遺産分割の先送りが原因とされています。
また、凍結された共有状態の預金の名義変更や払い戻しのためには、
遺産分割が成立している必要があります。
共有状態の相続財産がある場合は、先送りせずに遺産分割をすべきでしょう。
※関連ページ
「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」について(前編)~所有者不明土地問題とは?~
遺産分割では何を話し合うのか?
このように、遺産分割は、複数の相続人が共有している相続財産を分割し、各相続人に帰属させる手続きです。
そのため、極端なことを言えば、それ以外の話し合いは不要と言えます。
この点は、裁判所や弁護士と、当事者との間で認識に大きな違いがあるように思います。
相続人自身は、相続人間で共有している相続財産を分割することが遺産分割の目的というよりも、
他の相続人との戦いの場と考えていることも多いと思います。
そのため、過去の相手方の問題点を言い合って、紛争が激しくなることも珍しくありません。
しかし、遺産分割は、相続人間で共有している相続財産を分割することが目的です。
そこで、家庭裁判所では、その目的を効率よく実現させるためのルールが存在しています。
段階的進行モデルです。
段階的進行モデルによる遺産分割とは
東京家庭裁判所が採用しているルールに、段階的進行モデルというものがあります。
段階的進行モデルは、以下の1番から5番の順番で、各争点について段階ごとに協議し、
合意した内容を調書に残して、手続きを積み上げながら進行させていくプロセスのことを言います。
1 相続人の範囲の確定
2 相続財産の範囲の確定 3 相続財産の評価の確定 4 各相続人の具体的な取得額(特別受益・寄与分の有無と評価)の確定 5 遺産分割の方法 |
段階的進行モデルを意識せずに遺産分割協議を行った場合、
1番から5番の問題を同時に主張しあって問題が混在し、整理がつかなくなってしまいます。
また、被相続人の預金の使い込み、いわゆる使途不明金問題が延々と主張されるなど、
遺産分割の話とは別の問題が展開されてしまうことも多くあります。
これらの場合、遺産分割の成立が困難になってしまいます。
そして、1番から5番の問題それぞれについて、様々な法的問題が存在しています。
段階的進行モデルを意識しながら、かつ、様々な法的問題について的確に判断するためには、
相続法のみならず、家庭裁判所の実務上の取扱いや、相続法以外の関連した法律知識・経験が必要です。
遺産分割に慣れていない弁護士や調停委員が段階的進行モデルを意識せずに協議しようとする場合もあるので、
協議が脱線しないように1番から5番のプロセスを意識しながら進めることが大切でしょう。
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※遺産分割協議書の作成方法について知りたい方は、
「遺産分割協議書の作り方 ひな型・書式・サンプル」をご覧ください。
遺産分割協議・遺産分割調停・遺産分割審判の違いについて
多くのケースにおいては、共同相続人の協議によって遺産分割が成立しています。
(もっとも、弁護士が代理人として遺産分割協議を行うことは珍しくありません)
そして、相続人間の協議によっては解決できない場合、
家庭裁判所に対して、遺産分割調停や遺産分割審判を申立てることになります。
遺産分割調停は、家庭裁判所で調停委員の下で遺産分割を行う手続きです。
当事者間の合意によって遺産分割を成立させる手続きですので、
遺産分割協議の延長とも言えますが、中立の立場の調停委員が間に入ることで、
当事者間では解決困難だった問題が解決に向かうことが多いと思います。
一方、遺産分割審判は、調停でも遺産分割が成立しなかった場合、
当事者の主張を踏まえて、裁判官が分割内容を決める手続きです。
当事者の協議で決める手続きではなく、訴訟をイメージするとよいでしょう。
参考までに民法の条文を引用します。
条文でも、協議 → 調停・審判という流れを想定しています。
(遺産の分割の協議又は審判等)
第九百七条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
最後に、遺産分割を弁護士に依頼するメリットとは?
遺産分割を弁護士に依頼するメリットとしては、主に、
(1)専門的知識・経験に基づき的確な判断が可能になる
(2)相続人同士が直接対立することが無くなるため、感情的対立を回避することが出来る
(3)調停や審判の場合、代理人弁護士が代わりに出廷してくれる
が挙げられると思います。
当事務所は、相続問題を取扱業務の柱の1つとしており、
遺産分割協議・調停・審判の代理人活動、遺産分割協議書の作成、遺産分割に関する相談業務などについて、
対応しております。
また、被相続人がお亡くなりになった早い段階からご相談に乗らせて頂くこともあります。
こんなことで相談していいのか?まだ相談するのが早いのではないか?と悩まず、
是非お気軽にご相談下さい。
※遺産分割協議書の作成方法について知りたい方は、
「遺産分割協議書の作り方 ひな型・書式・サンプル」をご覧ください。
(関連ページ)
・遺産分割協議書作成サポート(オンライン・全国対応しております)
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・遺留分を主張したい方、遺留分を主張された方(遺留分侵害額請求)
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