2021/09/20 その他の法律情報
法律関連ニュース|財産開示手続きの利用急増 法改正前の7倍に 債権回収の可能性高まる 【債権回収】【強制執行】
財産開示手続の利用が急増しています
2021年9月20日付の日経電子版によれば、
「最高裁によると2020年は3930件と前年の約7倍となり、10年以降で最多となった。手続きに応じない「逃げ得」に刑事罰が科されたことで実効性が高まり、制度の使い勝手が向上したとみられる。」
「20年の新規受付件数は3930件で、19年の577件から6.8倍に増えた。過去10年で最多だった10年と比べても3倍以上だ。21年に入ってからも1~6月で3416件(速報値)に上り、20年をさらに大きく超えるハイペースとなっている。」
とのことで、明らかに急増しています。
財産開示手続きとは
「財産開示手続は,権利実現の実効性を確保する見地から,債権者が債務者の財産に関する情報を取得するための手続であり,債務者(開示義務者)が財産開示期日に裁判所に出頭し,債務者の財産状況を陳述する手続となります。」(東京地方裁判所HPから引用)
この制度自体は、以前から存在していましたが、財産開示手続きに応じなくても罰則が無く、実効性があまりないという問題点がありました。
そこで、民事執行法が改正され、正当な理由が無いにもかかわらず、
・裁判所に出頭しない場合
・宣誓を拒んだ場合
・陳述を拒んだ場合
・虚偽の陳述をした場合
には、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科されることになりました。
これにより、例えば、裁判所からの財産開示手続きの呼び出し状を受け取ったにも関わらず無視して出頭しない場合、前科・前歴が付いてしまう可能性が出てきましたので、要注意です。
実際、立件され、書類送検されているニュースを時々目にしています。
逆に言うと、判決や和解などで支払義務を負ったにもかかわらず支払いをしない、いわゆる逃げ得を許さないことにつながりますので、債権回収の実効性が高まったと言えます。
第三者からの情報取得手続き
なお、民事執行法の改正により、財産開示手続き以外にも、
・債務者の不動産に係る情報取得手続き
・債務者の給与債権に係る情報取得手続き
・債務者の預貯金債権等に係る情報取得手続き
も創設されました。
財産開示手続きとは別に、裁判所を通して、これらの情報収集が可能となりましたので、
債務者の財産調査の実効性がぐっと高まりました。
実際、当事務所でも利用しており、
債権回収に成功している状況です。
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