株式会社の自主廃業手続きの流れと費用を解説(通常清算・法人の解散清算)

更新日:2024年3月16日

 

豆腐店画像

 

【この記事で学べること】

・会社の自主廃業手続きの流れ

・社長の終活

・何も対策をしなかった場合のリスク

・自主廃業を弁護士に依頼するメリット

・自主廃業の費用

 

 

会社を廃業すべきか検討中の方へ

 

このような悩みはありませんか?

・会社経営の見通しは厳しいが、現状では借金の返済に困っているわけではなく、今後どうすべきか悩んでいる。

・現状では経営状況が厳しいわけではないが、後継者が見つからず、会社を整理した方がいいかもしれない。

 

債務超過や債務の弁済が困難な状況であれば、破産して会社を閉じざるを得ないことも多く、判断に迷わないかもしれません。しかし、現在それなりに経営が出来ている場合は、会社をたたんで良いのか悩み、長年検討を続け、決断できない経営者が多いと思います。

 

このページでは、会社のたたみ方、自主廃業の手続きの流れ・費用などについて解説いたします。

 

債務超過の会社など会社の倒産・再建をご相談の方はこちらのページをご覧ください。

会社・法人・個人事業主の借金問題・債務整理|任意整理(リスケジュール)・私的再建・民事再生・自己破産

 

 

自主廃業(会社の解散・清算)の手続きの流れ・株主総会決議や登記手続き・税務申告などについて

 

以下では、会社を自主廃業する場合の手続きを一覧にしましたので、確認してみましょう。各項目での注意点も説明いたしました。一般的にはあまり理解されていない会社の解散と清算の違いについても、手続きの流れを知れば異なる段階の手続きであることを理解できると思います。

 

【事前準備】

・自主廃業可能か見通しを立てる

すべての債務を弁済することができる場合に自主廃業が可能です。弁済することができない場合・債務超過の場合は特別清算や破産手続きにより廃業することになります。そのため、すべての債務を弁済できるか十分な見通しを立てる必要があります。見通しを立てる際には、取締役や監査役などの役員に支払う報酬金、従業員の給与や退職金、廃業にかかる費用等の資金を見積もり、それらを支払った後、資金が不足して債務超過にならないかにも注意する必要があります。また、代表者自身からの債務については債務免除を受けることも方法の一つです(債務免除益が発生し法人税が課税される可能性に注意が必要です)。

・自主廃業についての株主の意向を確認

会社の解散には、株主総会の特別決議(又は株主全員の同意)が必要です。場合によっては一部の株主が反対する可能性もありますので、株主との不要なトラブルを防ぐためにも解散について事前に主要な株主の意向を確認する必要があります。

・廃業日(解散の日)を決める

解散決議以降は新たな取引等ができなくなることや、従業員が再就職先を探す時間を確保する必要等の点を考慮し廃業日を決定します。

・関係者への連絡

取引先や従業員等の関係者に廃業する旨の連絡をします。不安を与えないように可能な限り丁寧かつ誠実に連絡をすると良いでしょう。ただし、連絡する適切なタイミングは会社の状況や相手等により異なりますので注意が必要です。

・雇用契約の解消、その他取引先との契約の解消など

解散日までに清算事務に関する従業員以外の雇用契約を解消するのが通例です。廃業による従業員への影響やショックが大きいため、従業員に対し丁寧かつ誠実に対応することが重要です。従業員に対し丁寧かつ誠実に対応することは解雇の有効性の点でも重要です。

 

【解散手続き】

・株主総会での解散決議、清算人の選任

株主総会で解散等の決議をするには、原則として株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。実務上は社長を清算人に選任するケースが多いでしょう。

・解散・清算人選任登記

株主総会決議から2週間以内に本店所在地の法務局で解散・清算人選任の登記をします。

 

【清算手続き】

・清算事務の開始

清算事務として現務の結了(締結済みの契約の履行や、履行に必要な契約をする等の業務の後始末)、財産の換価(不動産などの固定資産の売却や在庫の処分等により、会社財産を金銭に替える)、債権取立を開始します。

問題なく自主廃業ができる場合 には、解散前から新たな営業は停止して早めに取引を減らしておく、不要な会社財産は処分しておく等、清算事務で行うことの前倒しをしておくと清算事務をスムーズに行うことができます。

・官報での解散公告、債権者への通知

官報で解散公告を行い、知れている債権者に個別に通知をします。2ヶ月以上の債権申し出期間を定めて行いますが、その期間内は債務の弁済ができないことに注意が必要です。

・解散時の財産目録・賃借対照表の作成と株主総会での承認決議

解散時点の財産目録と貸借対照表を作成し、作成時から清算結了登記までの間保存し、株主総会の承認を受けます。

・解散事業年度の確定申告

解散決議から2ヶ月以内 に解散事業年度の確定申告をします。税理士への相談・依頼が必要です。

・税務署などの各種機関への解散届出

税務や各種保険に関する書類を提出し、届出等を行います。

・債務の弁済

債権申出期間後に資産が債務を上回っていることを確認の上、債務を弁済します。

・残余財産の確定

財産の換価を終え、債務の弁済(確定した未払金を除き)が終了した時点 で残余財産が確定します。

・残余財産確定事業年度確定申告

直前の決算日から清算結了日を期間とする残余財産確定事業年度確定申告を残余財産確定日から1か月以内か、残余財産の最後の分配が行われる前日の早い方までにします。

・残余財産の分配

残余財産を株主に分配 します。

・決算報告書の作成と株主総会での承認

決算報告書を作成し、株主総会の承認を受けます。

・清算結了登記

決算報告の承認決議の日から2週間以内に、清算結了登記の申請をします。

・帳簿資料の保存

清算人が帳簿資料を清算結了登記から10年間保存します。

・清算事業年度

解散から残余財産確定まで1年以上かかる場合には1年ごとに清算事務年度の手続(各清算事務年度の貸借対照表等の作成 、定時株主総会での貸借対照表の承認 、確定申告等)が必要です。

 

 

この一連の手続きを経て、法人格が消滅することになります。

なお、これらの手続きは、必ずしも上から下の順番に行うものではなく、実際には同時並行で行うものもあります。

 

中小企業の創業者・オーナー社長の終活について

 

廃業

 

さて、ここまで自主廃業を選択した場合の具体的な手続きについて解説いたしましたが、そもそも、自主廃業を選択するメリットとは何でしょうか?休眠会社にした場合と比べて税金を払わなくても良くなることや役員の重任登記の手間がなくなることが良く言われています。

 

もっとも、より本質的には、自主廃業は中小企業を経営する社長の終活の選択肢であるという点が重要です。

会社を設立し、順調に企業を成長・維持してきた創業者・オーナー社長様であっても、永遠に会社の株式を保有し、企業経営していくことは出来ません。創業社長が会社経営をやめることはとても難しいことだと思いますが、いずれかならず、会社経営から離れることになります。

 

社長の終活の3つの方法

・事業承継(親族や従業員の後継者に承継させる)

・М&A(第三者に売却する)

・会社をたたむ(自主廃業)

 

会社をたたむことは、事業承継やМ&Aと同じく、創業者・オーナー社長様ご自身が会社経営から離れる方法の1つであり、最後はそのいずれかを選ぶ必要があります。

 

事業承継・М&Aをご相談の方はこちらのページをご覧ください。

事業承継対策(会社オーナー様・社長様の相続対策)

 

 

事業承継・М&A・自主廃業のいずれの対策もしなかった場合

 

何の対策もしないままに、創業者・オーナー社長様がお亡くなりになることもあるでしょう。その場合、創業者・オーナー社長様が保有していた会社の株式は、相続財産の1つとなり、相続人らにより遺産分割の対象となります。相続人らが、会社の経営を考慮しながら遺産分割をしてくれる場合は問題ありませんが、相続争いに発展すれば、解決するまでの間、株式は相続人らの共有状態のままになり、株主総会が機能せず、代表者の再任その他重要な意思決定が出来ないという危機的な状況に陥ることもあります。

 

また、相続争いに発展しない場合でも、相続人らが会社経営を引き継ぐ意思が無い場合は、相続人らが、事業承継・М&A・自主廃業を行わなければならず、もともと経営に関与していなかった相続人らの負担は相当なものとなるでしょう。

 

大切なご家族や従業員らへの思いやりとして、事業承継・М&A・自主廃業をしっかりと行いましょう。このように、自主廃業は会社の終活としての意味・目的を有しているのです。

 

 

自主廃業を弁護士に依頼するメリット・必要性

 

 

次は、自主廃業の手続きを弁護士に依頼するメリットとその理由について解説いたします。

 

【手続きを任せ、継続的に相談することが出来る】

上記で解説した通り、自主廃業するためには、会社法の規定や各種の制度に従って期限までに様々な手続きを経る必要がありますが、普段の会社経営とは異なり、専門的な知識が必要となり、最終的に手続きが完了するまでに様々な課題が出てくることも珍しくありません。弁護士に依頼すれば、自ら手続きを調査する必要が無くなり、相談も可能になりますので、負担が軽くなります。

 

【代理人として活動してもらえる】

また、自主廃業するためには、従業員との雇用契約を解消し、取引先との契約関係を終了させる必要があります。これらの契約関係をうまく処理することが出来ないと、事例によっては訴訟になることもあり、決着がつくまで自主廃業が出来ないという難しい事態になりかねません。契約関係の解消に不安を感じる場合も弁護士に相談すると良いでしょう。弁護士に代理人活動を依頼できるという点は税理士・司法書士へ依頼する場合との大きな違いです。

 

【当事務所に依頼した場合】

当事務所では、自主廃業の手続き業務のみならず、雇用契約の解消・取引先との契約関係の解消・債権回収など自主廃業を進める上で重要な業務について法的なサポートしております。また、ご相談者様の会社の顧問税理士と連携しながら廃業支援をさせて頂きます(顧問税理士がいない場合は、当事務所が税理士のご紹介をいたします)。
裏返しになりますが、弁護士に依頼しない場合のデメリットは上記のようなサポートを受けられないという点です。

 

 

自主廃業(会社の解散・清算)に必要な費用

実費

解散登記費用 30,000円

清算人の選任登記費用 9,000円

官報公告の掲載費用 30,000円~40,000円程度(文字数により異なります)

清算結了の登記費用 2,000円

 

その他に、弁護士や税理士などの専門家の費用が必要となります。

 

弁護士費用

相談料

初回相談 30分単位で5,500円(税込)

2回目以降 30分単位で16,500円(税込)

 

廃業支援サービスをご依頼の場合の弁護士費用

33万円(税込)~

面談の上、お見積りをいたします。

 

まずは、お気軽に無料相談をご利用ください。