2020/05/19 遺言・相続
判例解説|相続開始から遺産分割までの間に発生した賃料は、各共同相続人が相続分に応じて確定的に取得し、後に成立した遺産分割の影響を受けないとした判例(最判平成17年9月8日・預託金返還請求事件)
判決の要旨
「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。」
注意点
上記判例の通り、相続財産である賃貸不動産から発生した賃料は、遺産ではありません。
そのため、相続人の誰かが賃料を一人占めしているような場合において、
当事者間の話し合いで解決できない場合は、
家庭裁判所における遺産分割調停・審判ではなく、
地方裁判所・簡易裁判所に対して訴訟を提起する必要があります。
ただし、調停の中で解決することが合意できれば、調停手続きにおいて解決可能です。
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