2019/03/19 その他

勤務弁護士時代

以前のブログで、司法試験合格後にベンチャー企業に就職した話をしました。
今回はその後のお話を致します。

 

ベンチャー企業の2年間の生活の後、司法修習生の期間を経て、東京都内(多摩地域)の法律事務所に入所することになりました。その事務所では、離婚、相続、債務整理、債権回収、不動産、顧問先などの会社の法律問題(企業法務)、刑事事件などを中心に担当しました。

 

当然ですが、実務については何も分からない状態からのスタートだったため、始めは不安でいっぱいでしたが、基本的に案件の全てを任せてもらうことが出来たため、自分の裁量で仕事を進めることが出来る部分が多く、非常に勉強になりました。

 

また、事務所の事件以外にも私個人の事件も自由にやらせてもらうことが出来、勤務していた立場ながら、弁護士1年目から会社との法律顧問契約を締結し、弁護士3年目までにはそれなりの会社数の顧問弁護士になることも出来ました。

 

印象に残っている事件はたくさんありますが、ある不動産(土地建物)の共有物分割請求事件が強く印象に残っています。

 

土地と建物が共有になっていた事案ですが、建物について区分所有登記をした上で、建物の半分を解体し、土地も2筆に分けるという現物分割を行いました。

 

相手方との交渉のみならず、建物の賃借人との明渡し交渉、不動産登記に関する司法書士や法務局とのすり合わせ、税務上の問題の検討、建物の抵当権者である銀行との交渉、建物の解体側の土地の買い手との交渉、解体業者との調整、隣地所有者との覚書締結、その他多数の問題全てについて同時並行で処理しなければならず、
かつ、どれか一つでもつまずくと解決できない案件だったため、非常に悩みましたが、結果的には無事に解決することが出来ました。

 

調停条項も非常に複雑多岐にわたる内容で、たたき台の作成に多くの時間をかけ、裁判所書記官と何度も相談した記憶があります。今でも時々、他の案件で調停条項や和解条項を作成する際に参考にしています。
建物の半分だけ解体する方法での現物分割が実現するとは、当初は思いもよらず、とても得難い経験になりました。

 

勤務弁護士時代は、忙殺され、悩みも多い時期でしたが、事務所の事件及び私個人の事件で様々な案件を担当することが出来、新人・若手弁護士として恵まれていたと思います。

 

そんな3年間を送り、私個人のお客様も増えてきたため、そろそろ独立を考え始めていましたが、実はその後、中国上海市の法律事務所へ行くことになり、再び一からのスタートを始めることになりました。

 

 

白土文也