2020/12/20 その他の法律情報

判例解説|転貸を可とする特約があるものの住居使用目的に限られていた建物を民泊として使用することが用法遵守義務違反に該当するとして賃貸借契約の解除を認めた事例(東京地判平成31年4月25日・貸室明渡請求事件)

判例の要旨

 

特定の者がある程度まとまった期間にわたり使用する住居使用の場合と,1泊単位で不特定の者が入れ替わり使用する宿泊使用の場合とでは,使用者の意識等の面からみても,自ずからその使用の態様に差異が生ずることは避け難いというべきであり,本件賃貸借契約に係る上記(1)の解釈を踏まえれば,転貸が可能とされていたことから直ちに民泊としての利用も可能とされていたことには繋がらない。本件建物を民泊の用に供することが旅館業法に違反するかどうかは措くとしても,前記認定事実によれば,現に,Bハイツの他の住民からは苦情の声が上がっており,ゴミ出しの方法を巡ってトラブルが生ずるなどしていたのであり,民泊としての利用は,本件賃貸借契約との関係では,その使用目的に反し,賃貸人である原告被承継人との間の信頼関係を破壊する行為であったといわざるを得ない。」

(判例タイムズ1476号249頁)

 

解説

 

民泊に関しては、マンションの区分所有者が民泊を始めたケースで、

管理組合からの差し止め請求が認められた判例などがありますが、

本件は、転貸可能な賃借建物を民泊に使用したケースで信頼関係破壊による解除を認めたもので、参考にすべき判例です。

 

上記判例が指摘する通り、民泊は、不特定多数の者が入れ替わり使用するため、

周辺住民との間でトラブルになりやすいという特徴があり、

マンション管理組合や区分所有者・不動産オーナー様にとって極めて重大な問題です。

安易な対応をして紛争に発展する前に弁護士にご相談ください。

 

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